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看護師の医療行為に対する意思決定の問題

看護師の臨床現場での権限はそれほど大きくはありません。医師と並ぶようにして基本的な医療行為を行えるのは確かですが、基本的には医師の指示がなければ何もできないのが看護師なのです。

治療行為を行うのは医師であるという考え方に基づくと最もな図式ではあるものの、現実的には看護師にある程度の権限が必要とされる場合もあるでしょう。最も顕著な例となるのが緊急事態における対応です。患者のケアのために伺った際、何らかの異変が見られることも多く、その都度医師に確認を取って適切な行為を取らなければならないのが現状です。

しかし、その際に迅速さが要求されることも多く、内容によっては看護師でも十分に判断できる場合もあります。それでもなお日本では医師の指示を仰がなければならないのが看護師の立場であり、それ故に迅速さが要求される場面で医療が適切に行われないリスクが生まれます。

このように、看護師に十分な権限を与えるかどうかが現在大きな課題となっています。既に欧米では看護師の上位資格を取得した人に対して、医療行為を自己の判断で認めるというシステムが取り入れられており、それによって迅速な対応が行えるようになっています。

欧米でのシステムに対して日本でも同じようなシステムを取り入れようという考えが生まれてはいるものの、現実的には医師主導の治療が行われる状況から脱却するにはまだ程遠いと言えます。どのようにして看護師の権限を拡大するかが、今後も大きな課題となってくるでしょう。